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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

症例報告

非ステロイド性抗炎症薬単独で治療した再発性多発軟骨炎の1例

著者: 岩田和子1 松本賢太郎1 嶋津苗胤1 宇野裕和2

所属機関: 1静岡済生会総合病院皮膚科 2宇野皮膚科アレルギー科医院

ページ範囲:P.849 - P.854

文献概要

要約 48歳,男性.初診の3週間前より両側耳介の腫脹,疼痛が出現し,抗菌薬内服および外用で改善せず当科紹介となった.左耳介の腫脹部からの軟骨を含めた皮膚生検で,病理組織学的に軟骨周囲から軟骨部にリンパ球を中心とする炎症細胞の浸潤と線維化を認め,抗Ⅱ型コラーゲン抗体も上昇していた.Damiani & Levineによる拡大された診断基準に基づき再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis:RP)と診断した.精査にて他臓器の軟骨障害は認めなかった.セレコキシブ200mg/日で治療を開始し徐々に左耳介の腫脹は消退した.1年7か月経過した現在もセレコキシブ継続で再発は認めていない.RPの治療の中心となる薬剤はステロイドであるが,厚生労働省研究班より提案されている重症度分類や疾患活動性を勘案し,経過中の合併症の併発や症状の再燃に注意したうえで限局する耳介軟骨炎では非ステロイド性抗炎症薬単独で治療が可能であった.

参考文献

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13) 鈴木 登:新薬と臨牀 69:395, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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