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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

文献概要

症例報告

繰り返す筋肉内血腫を契機に診断した後天性血友病Aの1例

著者: 中内恵美1 西岡美南1 髙橋甲介1 岩平紘佳1 植木結香里1 山本哲久1 今戸健人2

所属機関: 1宝塚市立病院皮膚科 2宝塚市立病院血液内科

ページ範囲:P.855 - P.859

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要約 69歳,男性.特に誘因なく右臀部などに紫斑と同部の腫脹を認めたため当科を受診した.MRIで右大臀筋内血腫を認めた.2か月後の再診時に,同部の血腫は徐々に縮小していたが,左大腿直筋内に新たな血腫を認めた.血液検査にて,血小板数やPTは正常,貧血とAPTTの延長を認めたため,後天性血友病Aを疑い血液内科に紹介した.第Ⅷ因子活性の低下,第Ⅷ因子インヒビター陽性の結果から,後天性血友病Aと診断された.遺伝子組み換え活性型凝固第Ⅶ因子製剤とプレドニゾロンによる治療にて寛解となった.後天性血友病Aは第Ⅷ因子に対する自己抗体が出現し,しばしば重篤な出血症状を呈する疾患である.初発症状として紫斑や筋肉内血腫を呈する頻度が高く,皮膚科を受診することもある.高齢者に誘因なく血腫が出現し,APTTの延長を認めた場合は,本疾患を疑い,速やかに専門医へ紹介することが重要である.

参考文献

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9) 池上隆太,他:皮の科 4:350, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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