icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

文献概要

症例報告

膵炎を合併した非典型薬剤性過敏症症候群の1例

著者: 島田秀一1 島田佳奈子1 城野剛充1 牧野公治1 上野茂紀2

所属機関: 1国立病院機構熊本医療センター皮膚科 2国立病院機構熊本医療センター消化器内科

ページ範囲:P.861 - P.865

文献購入ページに移動
要約 30歳台,女性.関節リウマチのためX年7月中旬より近医でサラゾスルファピリジンを内服した.X年8月中旬より38℃台の発熱と皮疹が出現し,肝機能障害と異型リンパ球が出現していたことから近医でウイルス感染症として対症療法が行われた.サラゾスルファピリジンは中止され,ステロイドの全身投与が行われた.その後も発熱と皮疹が改善せず,8月末に当院救急外来を受診した.来院時,発熱と倦怠感に加えて顔面浮腫と口唇周囲の紅斑・鱗屑,略全身の淡い癒合性紅斑がみられた.血液検査では肝機能障害があり,また膵アミラーゼが高値でCT検査ではびまん性の膵腫大がみられた.異型リンパ球4.3%および血液学的異常以外の診断基準を満たし,内服歴・臨床症状等から膵炎を合併した非典型DIHSと考えプレドニゾロン0.5mg/kg/日で治療した.皮疹と肝障害は徐々に軽快し,膵炎も保存的加療で緩徐に軽快した.膵炎は稀ながらもDIHSの重篤な合併症の1つである可能性があり,十分な注意が必要と考える.

参考文献

1) 橋本公二:Stevens-Johnson症候群,toxic epidermal necrolysis(TEN)とhypersensitivity syndromeの診断基準および治療指針の研究 厚生科学特別研究事業 平成17年度総括研究報告,2005
2) Iwamoto S, et al:Kekkaku 87:777, 2012
3) Bommersbach TJ, et al:Mayo Clin Proc 91:787, 2016
4) Wilmink T, Frick TW:Drug Saf 14:406, 1996
5) 竹之下秀雄,他:日農村医会誌 58:476, 2009
6) Roquin G, et al:Ann Pharmacother 44:1998, 2010
7) 太田一樹,他:糖尿病 44:907, 2001
8) 湯 華民,他:ウイルス 60:221, 2010
9) 藤山幹子:J Visual Dermatol 17:828, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?