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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

文献概要

症例報告

瘙痒を伴った表在播種型汗孔角化症の1例

著者: 杉森彩香1 青笹尚彦1 田中弘子1 角田麻衣子1 小原明希1 野々垣彰1 石浦信子1 村岡亮2 福岡久代3 玉木毅1

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科 2国立国際医療研究センター病院消化器内科 3国立国際医療研究センター病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.873 - P.878

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要約 62歳,男性.潰瘍性大腸炎のためにステロイドと免疫抑制薬を内服していた.初診17年前から,体幹と四肢に環状の角化性褐色斑が多発するようになった.個疹は時に瘙痒を伴っていた.病理組織学的には表皮に錯角化性円柱(cornoid lamella)を認め,周囲の炎症細胞浸潤はリンパ球が主体であり,表在播種型汗孔角化症と診断した.初診2年9か月後瘙痒が増悪し再度皮膚生検を行ったが,病理組織は同様の所見であり,その後瘙痒は改善した.一般に汗孔角化症は自覚症状を伴わないことが多いが,時に自験例のように瘙痒を伴うことがあり,特に表在播種型で多い.瘙痒は1〜2年ほどで改善することが多いため,それを説明することが,患者の不安を和らげることにつながると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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