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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

症例報告

右肘部に生じたグロムス腫瘍の1例

著者: 木村(齋藤)真衣1 山内健二2 三宅亜矢子1

所属機関: 1稲城市立病院皮膚科 2稲城市立病院整形外科

ページ範囲:P.879 - P.883

文献概要

要約 41歳,男性.初診5年前より右肘部に疼痛が出現した.近医で肘部管症候群と診断され,当院整形外科を紹介受診し,単純MRIで右肘部皮下に囊胞性腫瘤を認めたため当科紹介となった.初診時,右肘部に淡紅色に透見される皮下結節を触れ,強い自発痛を訴えていた.病理組織所見では円形で均一な核を有する細胞と,不規則に拡張した管腔構造で構成される境界明瞭な腫瘍を脂肪織内に認め,グロムス腫瘍と診断した.グロムス腫瘍は単発型と多発型に分類され,単発型は全体の9割を占める.手指爪甲下に好発し,肘部の発生は比較的稀である.一般的に20〜40歳台の女性に多く,組織はglomus tumor properが多いが,肘部単発型グロムス腫瘍の自験例を含む本邦報告24例について検討した結果,男性に多く比較的高齢で,組織はglomangiomaが多く,グロムス腫瘍全体とは異なる特徴を示した.疼痛を伴う腫瘍をみたときには,爪甲下以外であってもグロムス腫瘍も念頭に置くことが必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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