icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻11号

2021年10月発行

症例報告

化膿性無菌性関節炎を伴う膿皮症の1例—PAPA症候群との異同について

著者: 伊藤雄太1 平井由花1 武井華子1 笠ゆりな1 大歳晋平1 中田土起丈1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院皮膚科

ページ範囲:P.907 - P.911

文献概要

要約 26歳,男性.既往歴:喘息.3か月前から両頰部,背部に膿疱が多発,同時期より肩関節,2か月前より左膝の疼痛を自覚した.抗菌薬を投与されたが軽快と増悪を繰り返していた.1か月前には38℃台の発熱と股関節痛も認められるようになった.現症として右頰部に潰瘍を認め,左頰部,背部には暗紅色ないしは膿性の内容を有する小結節が多発していた.生検組織像では真皮全層から表皮に及ぶ著明な好中球浸潤を認めた.関節液所見は炎症性変化,下部内視鏡検査は非特異的炎症所見であった.Pyogenic sterile arthritis, pyoderma gangrenosum, and acne(PAPA)症候群を疑ったが,PSTPIP1(proline serine threonine phosphatase-interacting protein 1)遺伝子変異は認められなかった.プレドニゾロン投与により皮疹,関節症状ともに速やかに消退したが,減量に伴う再発が認められている.遺伝子異常は認められなかったが,化膿性無菌性関節炎,壊疽性膿皮症,重症痤瘡が同時期に偶発的に生じたとは考えにくく,PSTPIP1以外の遺伝子異常ないしは後天的変化によってPAPA症候群と類似の病態が生じうる可能性を示唆する症例と考えた.

参考文献

1) 改正恒康:医学のあゆみ 274:379, 2020
2) Lindor NM, et al:Mayo Clin Proc 72:611, 1997
3) Gottlieb J, et al:Br J Dermatol 181:866, 2019
4) Wise CA, et al:Hum Mol Genet 11:961, 2002
5) Marzano AV, et al:JAMA Dermatol 149:762, 2013
6) 京都大学大学院医学研究科発達小児科学:http://aid.kazusa.or.jp/2013/pdf/PAPA.pdf

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら