文献詳細
症例報告
文献概要
要約 症例1:30歳男性.ベトナム旅行後,二峰性の発熱と四肢に点状紅斑が出現した.白血球と血小板の一過性減少と,腹部の虫刺様紅色丘疹を認めた.症例2:40歳男性.症例1と共にベトナム旅行に行き,帰国後に発熱と全身の疼痛,下痢が出現した.解熱後に全身のびまん性潮紅の中に爪甲大の正常皮膚を散在性に認めた.いずれの症例も旅行中に蚊に刺されたエピソードがありデング熱を疑い血液と尿のPCRを施行したところデングウイルス1型陽性でありデング熱と診断した.ともに経過観察のみで症状は改善した.我が国でのデング熱患者数は年々増加傾向にあり,2014年,2019年には国内発症例も報告されている.海外旅行後の発熱と血小板の低下やwhite islands in a sea of redと呼ばれる特徴的な皮疹をみた際は,デング熱も鑑別に挙げて検査をする必要がある.
参考文献
1) Kutsuna S, et al:Emerg Infect Dis 21:517, 2015
2) 西村光司,他:IASR 41:89, 2020
3) 忽那賢志,他:感染症誌 89:29, 2015
4) Bhatt S, et al:Nature 496:504, 2013
5) NIID国立感染症研究所 日本の輸入デング熱症例の動向について https://www.niid.go.jp/niid/ja/dengue-imported.html
6) Lum L, et al:Malays Fam Physician 9:2, 2014
7) Yip WCL:Medical Progress 7:201, 1980
8) 忽那賢志:Med Technol 43:587, 2015
9) 高崎智彦:Mod Media 65:135, 2019
10) Kalayanarooj S, Vaughn DW, et al:J Infect Dis 176:313, 1997
11) Hirayama T, et al:J Clin Microbiol 50:2047, 2012
12) 青木義紘,他:日渡航医会誌 11:89, 2017
掲載誌情報