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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻12号

2021年11月発行

文献概要

症例報告

間質性肺炎を合併しTスポットの判定が保留であった尋常性乾癬に対し抗IL-17A製剤を導入した1例

著者: 坂本拓海1 中村吏江1 北原良洋2 天野愛純香3 木下ひとみ4

所属機関: 1呉医療センター・中国がんセンター皮膚科 2広島市立舟入市民病院呼吸器内科 3JA廣島総合病院皮膚科 4広島市

ページ範囲:P.971 - P.975

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要約 74歳,男性.乾癬に対するシクロスポリン内服にて腎機能障害が生じ,腎臓内科および当科に紹介となった.活性型ビタミンD3/ステロイド配合剤外用としたが,脳梗塞で他院入院後,皮疹の増悪と意識障害が生じ再紹介となった.高Ca血症による意識障害であり,外用剤を変更したが皮疹の増悪を認め,患者のQOLに大きな支障を及ぼしていた.導入前検査でKL-6は高値でTスポットは判定保留の結果であったが,抗IL-17A抗体製剤による治療を開始した.治療開始後病勢コントロールは良好であったが6週目でTスポットが陽性となったため全身CTで結核病変は認めなかったが抗IL-17A抗体製剤を中止した.中止後皮疹の再燃あり,イソニアジドの内服後に抗IL-17A抗体製剤を再開した.再開後9か月で結核を疑う所見なく,皮疹の経過も良好であり,またKL-6も低下している.合併症を有する症例においても生物学的製剤は導入前および治療中の慎重な診察が前提ではあるが前向きに検討する余地はある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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