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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻12号

2021年11月発行

症例報告

皮膚の陥凹を契機に診断されたEhlers-Danlos症候群の1例

著者: 向川早紀1 石浦信子12 荒川玲子3 高野梢3 岡﨑敦子3 中野(田村)美和4 早川奈見1 加藤規弘3 大河内仁志4 玉木毅1

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院皮膚科 2JCHO東京新宿メディカルセンター皮膚科 3国立国際医療研究センター病院臨床ゲノム科 4国立国際医療研究センター研究所細胞組織再生医学研究部

ページ範囲:P.977 - P.981

文献概要

要約 21歳,中国人男性.家族に同症状なし.5〜6年前から誘因なく,体幹,上肢の皮膚が陥凹することを主訴に当院を受診した.腰部,背部,上腕に数か所斑状の皮膚萎縮あり,上腕,顔面,頸部の皮膚過伸展と足関節の過可動性,漏斗胸,腰椎の後彎を認めた.骨密度の低下なし.心電図や心エコー検査の異常なく,水晶体脱臼などの眼症状はみられなかった.皮膚組織の電顕検査にて径不同で鋸歯状や花弁状の膠原線維を認め,Ehlers-Danlos症候群と診断した.遺伝子解析でCOL1A1遺伝子にミスセンス変異(c. 2189C>T. p. Pro730Leu)を検出し,その他の既報告の原因遺伝子に変異を認めなかった.本症例で検出した変異は未報告で,機能喪失変異である可能性が高いと予測された.過去にこの近隣の変異を認めた報告例では骨形成不全の報告が多いため,今後も骨格系の変形を含めた新規の臨床症状の出現がないか慎重な経過観察を要する.

参考文献

1) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学体系,10巻,中山書店,p195, 2003
2) Byers PH, et al:Am J Med Genet 72:94, 1997
3) 古庄知己:日本臨床別冊新領域別症候群シリーズNo.20:721, 2012
4) Nuytinck L et al:Am J Hum Genet 66:1398, 2000
5) Gaines R et al:Ann Vasc Surg 29:e11, 2015
6) Ritelli M et al:Orphanet J Rare Dis 8:58, 2013
7) Mizuno K:Connective Tissue 35:207, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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