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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻12号

2021年11月発行

症例報告

大腿部の巨大な筋肉内腫瘤からサルコイドーシスと診断し心臓病変の早期治療導入が可能であった1例

著者: 清水友理1 瀬尾昌裕2 大畑千佳1

所属機関: 1大阪急性期・総合医療センター皮膚科 2大阪急性期・総合医療センター心臓内科

ページ範囲:P.983 - P.988

文献概要

要約 60歳台,女性.数か月前から右大腿内側腫脹・皮下硬結,右下肢のだるさが出現.CTで筋肉内に巨大腫瘤があり,皮下硬結,筋肉内腫瘤の生検で乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めた.血清ACE活性,sIL-2R上昇と合わせてサルコイドーシスと診断した.筋サルコイドーシスの大部分は無症候性で下腿に多く,大腿部に巨大腫瘤を形成した腫瘤型筋サルコイドーシスは稀である.全身検索を施行し,造影MRIと18F-FDG PET/CTで心臓サルコイドーシスが発見された.本邦におけるサルコイドーシスの死因は心臓病変が最多だが,心サルコイドーシスの早期診断は難しい.今回,皮下・筋肉病変からサルコイドーシスと診断し,心臓病変の早期発見,早期治療につなげることができた.症候性筋サルコイドーシスは稀な疾患であるが,腫瘤を形成し皮膚科を受診しうる.サルコイドーシスの診断に至った際は全身検索を行い,心臓病変に対しては早期治療開始が重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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