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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻12号

2021年11月発行

症例報告

帯状疱疹,単純疱疹において血管炎との鑑別を要する特異な臨床像を呈した1例

著者: 竹原友貴1 庄田裕紀子2

所属機関: 1独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院皮膚科 2一般財団法人住友病院皮膚科

ページ範囲:P.1011 - P.1016

文献概要

要約 71歳,女性.11年前より関節リウマチ(RA)で,プレドニゾロン(PSL),メトトレキサート(MTX)を内服していた.汎発疹を伴う左腰背部の帯状疱疹を発症後,左下肢に帯状疱疹が再発し,1か月以上小豆大の潰瘍が持続した.皮膚生検でリウマトイド血管炎と診断したが,Tzanck test陽性,潰瘍辺縁の変性表皮細胞からchronic varicella zoster virus(CVZV)と診断した.さらに3か月後,左下腿前面に米粒大の紫斑が多発,2か月以上持続したため血管炎を疑った.入院し,皮膚生検を2回行ったことにより経過中の新旧の病理像をとらえることができ,herpes simplex virus-2型(HSV-2)による単純疱疹と診断した.下腿は血管炎の好発部位であるが,単純疱疹の好発部位ではないため,紫斑から単純疱疹を診断することは困難である.帯状疱疹や単純疱疹では血管炎を伴い,潰瘍や紫斑を呈する可能性もあり,鑑別疾患に挙げるべきである.

参考文献

1) 浅田秀夫:皮膚科臨床アセット3,中山書店,2011,35頁
2) 古川福実,池田高治ほか;血管炎・血管障害診療ガイドライン2016年改訂版,日皮会誌,127:299, 2017
3) Calonje E, et al:Mckee's Pathology of the Skin, 4th ed, p774, 2012
4) Wauters O, et al:J Am Acad Dermatol 66:e217, 2012
5) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,15巻,中山書店,p8, 2002
6) 松尾光馬:皮膚病診療 34:1231, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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