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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻13号

2021年12月発行

症例報告

30歳台男性の左大転子部に生じ難治性潰瘍から類上皮肉腫の診断に至った1例

著者: 豊島進1 堀川弘登1 山崎一人2 佐藤友隆1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター皮膚科 2帝京大学ちば総合医療センター病理部

ページ範囲:P.1089 - P.1095

文献概要

要約 36歳,男性.特記すべき既往歴はない.X年1月に左大腿大転子部を石材にぶつけて受傷後,小指頭大の潰瘍が出現.出血を繰り返し拡大した.近医で加療されたが改善せず,X年2月に当院受診.受診時約15mm大,深さ約7mmの辺縁に硬結を触れる潰瘍を認めた.X年6月には上皮化を得たが,X+1年5月ごろに同部位に潰瘍が再発した.再発後は創閉鎖を得ることはなく当院への通院を中断,以降近医で外用やデブリードマンが行われた.X+4年6月,創部はさらに拡大し当院再紹介,再診時70mm大の中央に壊死組織を伴い辺縁が堤防状に隆起した深い潰瘍を認め,生検病理で真皮内に核分裂像を伴う紡錘形異型細胞の増生を認めた.免疫染色ではCD34,サイトケラチンAE1/3,EMAが陽性,サイトケラチン5/6,SMARCB1(INI1)が陰性で類上皮肉腫と診断した.類上皮肉腫は若年者に好発する間葉系の悪性腫瘍である.稀な肉腫だが,高率に肺やリンパ節への転移をきたし予後不良となるため,若年者の難治性潰瘍の鑑別として重要であると考え報告する.

参考文献

1) Chbani L, et al:Am J Clin Pathol 131:222, 2009
2) Wolf PS, et al:Am J Surg 196:407, 2008
3) 東儀那津子,他:皮膚病診療 37:1101, 2015
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6) Agaimy A:Virchows Arch 476:81,2020
7) Chase DR, Enzinger:Am J Surg Pathol 9:241, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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