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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻13号

2021年12月発行

文献概要

症例報告

黄色ブドウ球菌感染合併により鼻瘤様の外観を呈したスポロトリコーシスの1例

著者: 小泉滋1 小熊玲奈1 矢口貴志2 松江弘之1

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学 2千葉大学真菌医学研究センター

ページ範囲:P.1101 - P.1106

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要約 79歳,男性,農家.1か月前より生じた鼻尖部紅斑に対してステロイド軟膏を外用し鼻瘤様の外観を呈した.皮膚生検にて真皮内に多数の円形の菌体成分を混じる肉芽腫像を認めた.細菌培養検査ではメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-sensitive Staphylococcus aureus:MSSA),真菌培養検査ではSporothrix schenckiiが検出された.セファレキシン内服にて痂皮は大部分が消失し,腫脹も改善したが紅斑は残存した.その後,rDNA ITS領域の塩基配列からSporothrix globosaと同定され,内服薬をヨウ化カリウムに切り替えたところ紅斑も消退した.MSSAとSporothrix globosaの混合感染であったと考えた.自験例のような鼻瘤様の外観など,非典型な臨床所見を呈したスポロトリコーシスでは,黄色ブドウ球菌など他の病原微生物の混合感染を念頭に組織培養の結果を検討することが治療方針を決定するにあたり肝要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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