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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻2号

2021年02月発行

文献概要

症例報告

間質性肺炎を伴った再発性多発軟骨炎の1例

著者: 青木孝司1 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科

ページ範囲:P.113 - P.118

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要約 74歳,男性.初診の約2週間前に右耳介の発赤,腫脹,疼痛が出現し,近医にて抗菌薬の内服加療を受けるも改善に乏しく当科を紹介受診した.経過と臨床から再発性多発軟骨炎を疑い,右耳介から皮膚生検を行った.病理組織学的所見では,軟骨周囲に好中球を主体とする稠密な炎症細胞浸潤がみられた.CTにて気道病変はなかったが,間質性肺炎の所見が得られた.初診2週間後より鼻軟骨炎も出現したため,Damiani基準に基づき再発性多発軟骨炎と診断し,プレドニゾロン内服を開始した.その後ジアフェニルスルホンの内服を併用し,軟骨炎,間質性肺炎ともに軽快した.本症の生命予後は8年生存率が94%であるが,気道・心血管病変は重大な合併症である.過去に間質性肺炎を合併した再発性多発軟骨炎の報告は自験例を含めて6例あり,再発性多発軟骨炎をみた場合,呼吸器症状がなくとも画像検査を行い,気道のみならず肺野病変も確認すべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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