icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻2号

2021年02月発行

文献概要

症例報告

BCG接種の関与が考えられた乳児汎発性環状肉芽腫の1例

著者: 山下珠代1 松田吉弘1 赤松由規1 斉藤まり1

所属機関: 1三豊総合病院皮膚科

ページ範囲:P.131 - P.135

文献購入ページに移動
要約 9か月,女児.初診の4か月前にBCG(Bacille Calmette-Guerin)接種,接種2か月後から顔面にはじまり四肢に硬い紅色丘疹が多発した.BCG接種後の副反応等を疑い,下腿の丘疹よりパンチ生検施行.病理組織学的所見では真皮内に膠原線維の変性像とそれを取り囲む柵状に配列した組織球浸潤がみられた.以上のことから,汎発型環状肉芽腫と診断した.その後無治療経過観察により,症状出現から約3か月後に自然消退した.小児の環状肉芽腫は臨床診断が困難なことがあり,自験例は結核疹などのBCG接種後副反応との鑑別を要した.典型的な環状肉芽腫の組織像からBCG接種の関与したGAと診断しえた.BCG接種後副反応の大半はGAと同様経過観察にて自然治癒することが多いが,BCG骨炎(骨髄炎)や全身播種状BCG感染症などは重症化し,積極的加療が必要な場合もあるため,BCG接種後の難治性丘疹をみた際には皮膚生検も含めた適切な診断,加療が重要である.

参考文献

1) 遠藤 恵,他:皮膚病診療 38:479, 2016
2) Fox C, et al:Br J Dermatol 7:91, 1895
3) 松永亜希子,他:臨皮 59:248, 2005
4) 岩月啓氏,他:臨皮 36:9, 1982
5) 中山りわ,他:西日皮膚 67:19, 2005
6) 三原清香,他:臨皮 62:541, 2008
7) 向川早紀,他:臨皮 73:536, 2019
8) 池田麻純,他:皮膚臨床 51:759, 2009
9) Nagase K, et al:Eur J Dermatol 21:1001, 2011
10) 又吉武光,他:日皮会誌 121:39, 2011
11) 山村里恵,他:皮膚臨床 60:1199, 2018
12) 久保田由美子,他:皮膚臨床 44:173, 2002
13) Nomiyama T, et al;Australas J Dermatol 54:e4, 2013
14) Yoon NY, et al:J Dermatol 41:109, 2014
15) Lee SW, et al:Ann Dermatol 23(Suppl 3):s319, 2011
16) Kakurai M:Int J Dermatol 40:579, 2001
17) 森  亨,他:結核 84:109, 2009
18) 徳永 修:小児内科 50:1237, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?