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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻2号

2021年02月発行

症例報告

皮下結節性脂肪壊死症を契機として膵癌を発見し根治術に至った1例

著者: 吉川真人1 足立秀禎2 鈴木伸吾2 鳥居直矢3 中島昭奈4

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院皮膚科 2豊田厚生病院皮膚科 3豊田厚生病院外科 4斉藤病院皮膚科

ページ範囲:P.165 - P.170

文献概要

要約 84歳,女性.初診の1か月前から両下腿に2〜5cm大で自発痛・圧痛を伴う紅色の皮下結節が出現した.皮膚生検にて,病理組織学的にghost-like cellを伴う皮下脂肪組織の壊死巣を認め,皮下結節性脂肪壊死症と診断した.血液検査でリパーゼ,トリプシンなどの膵酵素が高値を示し,腹部造影CTで膵体尾部に径65mm大の腫瘤性病変を認めた.消化器外科にて膵腫瘍摘出術が行われ,診断は腺房細胞癌であった.皮下結節は術後速やかに色素沈着を残して消退し,膵酵素も正常化した.本症例では,皮下結節性脂肪壊死症の診断を契機として無症状の膵癌を発見し,根治術を行うことができた.下肢の有痛性皮下結節をみたときは,本症を鑑別に挙げて積極的に皮膚生検や膵酵素の測定を行い,膵疾患の検索を行うことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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