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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻2号

2021年02月発行

文献概要

症例報告

家庭と学校での葛藤軽減をはかる多面的アプローチが奏効した抜毛症の10歳女児の1例

著者: 境玲子12 戸代原奈央1 藤田純一1

所属機関: 1横浜市立大学附属病院児童精神科 2横浜市立大学医学部皮膚科学

ページ範囲:P.171 - P.175

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要約 小学4年,女児.進級後に眉毛から始まった抜毛行動が頭髪に移行・増悪した.皮膚科から児童精神科に紹介され,精神科での治療経過を検討した.児童精神科面接では,家庭や学校(進級)での環境変化に伴う児のストレス負荷に注目し,保護者に抜毛行動を“ストレス負荷のバロメーター”ととらえて児を叱責しないよう助言するとともに,児が抜毛せず穏やかに過ごせるよう,親子で日課を見直すよう促した.一時軽快した抜毛は5年進級後に再燃したため,担任やスクールカウンセラーとの面談を保護者に促し,学校(学習・交友)環境の調整をはかった.家族機能の向上と児の情緒的成長を促すよう診療を継続するなかで抜毛は軽快し,6年時に治療終結した.皮膚科で抜毛症症例に精神科との医療連携なく対応する場合においても,家庭と学校での藤軽減に注目した多面的な治療アプローチの活用が望まれる.

参考文献

1) 古江増隆(編):皮膚科臨床アセット6.脱毛症治療の新戦略,中山書店,p162, 2011
2) 境 玲子,他:総病精医 30:28, 2018
3) Snorrason I, et al:J Clin Psychol 72:1200, 2016
4) 武井 明,他:児精医誌 38:217, 1997
5) 武井 明:Derma 225:53, 2014
6) 高田美和子,他:小児内科 33:1463, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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