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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

心不全を伴う膿疱性乾癬に対しイキセキズマブが著効した1例

著者: 宮下加奈子1 本多教稔1 梶原一亨1 尹浩信1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病治療再建学分野

ページ範囲:P.213 - P.218

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要約 83歳,女性.尋常性乾癬に対し30年前よりステロイド外用,シクロスポリン内服等で治療されたが,腎機能低下を認め加療中止となり,症状増悪したため光線療法目的で当科入院となった.加療中に皮疹が増悪し,38℃台の発熱を伴い全身に小膿疱を伴う潮紅が拡大した.生検にてKogoj海綿状膿疱を有する角層下膿疱を認め,汎発性膿疱性乾癬と診断した.腎機能低下に加え,心不全を合併したためエトレチナート,シクロスポリン,インフリキシマブ等は使用できず,イキセキズマブを選択した.イキセキズマブ投与後に皮疹・炎症所見ともに速やかに改善し,重症度は10点(中等症)から2点(軽症)まで低下した.膿疱性乾癬の難病特定疾患受給患者には一定数高齢者を含み,高齢者は特に合併症のために治療の選択肢が限られる場合がある.今回,心不全を伴う高齢の膿疱性乾癬患者に心不全を増悪させることなくイキセキズマブを安全に使用でき,著効したため報告する.

参考文献

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9) Saeki H, et al:J Dermatol 44:355, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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