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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

胸腺腫による抗デスモグレイン抗体が陰性の腫瘍随伴性天疱瘡の1例

著者: 吉田諭1 宇都宮亮1 土居千晃1 武藤潤1 古賀浩嗣2 石井文人2 佐山浩二1

所属機関: 1愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学 2久留米大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.219 - P.224

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要約 61歳,女性.59歳時に前縦隔腫瘍を健康診断で指摘され,60歳より口腔内潰瘍が出現し,前医を受診した.血清中の抗デスモグレイン抗体値を測定したが陰性であり,精査加療目的に当院皮膚科を紹介受診した.頰粘膜や舌縁にびらんや潰瘍を認めたが,体幹四肢にびらん,紅斑はなかった.頰粘膜部の生検,蛍光抗体法,免疫ブロット法を施行し,エンボプラキンとペリプラキンに対する自己抗体が検出され,腫瘍随伴性天疱瘡と診断した.前縦隔腫瘍は切除され,胸腺腫と診断された.手術後に口腔症状の増悪がみられたため,プレドニゾロン50mg(1mg/kg)内服を開始した.初診から9か月後時点で,口腔内潰瘍の新生はなく,閉塞性細気管支炎を生じていない.腫瘍随伴性天疱瘡は一般的に抗デスモグレイン抗体を有すると考えられているが,抗デスモグレイン抗体が検出されない症例もあり,デスモグレイン以外の抗原に対する自己抗体を精査する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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