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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

口唇の皮疹を契機に中年期で診断された遺伝性出血性毛細血管拡張症の1例

著者: 宮川明大1 高宮城冴子1 崎山とも1 稲積豊子1 久保亮治2 比留間淳一郎3

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 3ながせ皮膚科

ページ範囲:P.231 - P.236

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要約 57歳,男性.5年前より両側指腹部に点状紅斑が出現した.2年前より下口唇にも点状紅斑が出現し,精査加療目的に当科を紹介受診した.幼少期より繰り返す鼻出血と,肺動静脈瘻の既往もあることから遺伝性出血性毛細血管拡張症と診断した.全身精査の結果,左後頭葉に陳旧性の脳梗塞,上部消化管粘膜に多数の毛細血管拡張,膵臓動静脈瘻,肺動静脈瘻が認められた.本疾患は鼻出血をはじめとして複数診療科に亘る臨床所見を時期を異にしながら呈するため早期診断が困難なケースがある.重要臓器の血管奇形は時として致死的病態を招くため,早期の病態評価と複数の専門家による集学的なアプローチが望まれる.また患者が皮膚粘膜病変を主訴に皮膚科を受診する場合があり,診断においてわれわれ皮膚科医が果たす役割は大きい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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