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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

コレステロール結晶塞栓症に対してステロイド療法にLDLアフェレーシスと局所陰圧閉鎖療法を併用した1例

著者: 加藤あずさ1 中島充貴2

所属機関: 1国立病院機構岩国医療センター皮膚科 2国立病院機構岩国医療センター循環器内科

ページ範囲:P.237 - P.242

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要約 60歳台,男性.血栓性大動脈分岐閉塞症により左下腿壊疽を発症した.術前検査で判明した無症候性心筋虚血に対して経皮的冠動脈形成術,血栓性大動脈分岐閉塞症に対して末梢血管形成術,左下腿切断を施行された.術後より末梢血好酸球数が上昇し,術後4か月後に右足趾色調不良と網状皮斑を認めた.コレステロール結晶塞栓症としてプロスタグランジン製剤,HMG-CoA還元酵素阻害薬の投与に加え,ステロイドを投与するも右母趾は壊死し,趾切断に至った.右母趾切断から1か月半後より新たに足趾色調不良と潰瘍が出現した.趾切断が考慮される潰瘍だったが,ステロイド療法に加えてLDLアフェレーシスと局所陰圧閉鎖療法を併用したところ,経時的に色調は改善し潰瘍も上皮化した.本症の治療法は確立していないが,微小循環改善薬やステロイドの効果が乏しい皮膚潰瘍が主体で,基礎疾患のため高用量ステロイド療法を回避したい症例では3者併用療法が有用と考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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