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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

骨髄癌腫症を呈し急激な転帰をたどった足底悪性黒色腫の1例

著者: 和田昇悟1 片桐正博1 並木剛1 三浦圭子2 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科診断病理学分野

ページ範囲:P.255 - P.260

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要約 69歳,女性.10年前に近医で右足底の黒色斑を切除され,母斑細胞性母斑と診断された.7年前より切除部に黒色斑が再度出現し,徐々に増大し結節となったため当科受診となった.初診時,右足底に直径17×12mm大の黒色結節と右鼠径リンパ節腫大を認めた.原発巣の切除と右鼠径リンパ節生検を施行し,右足底悪性黒色腫(pT4bN2bM0, p stage ⅢC)と診断した.初診3か月後頃より嘔気と食思不振が出現し,急激に血小板が減少,末梢血への骨髄球が出現した.骨髄生検にて異型メラノサイトの浸潤があり,骨髄癌腫症と診断した.CTでは多発転移を認め,骨髄癌腫症と判明した9日後に死亡した.骨髄癌腫症は,悪性腫瘍が骨髄にびまん性に転移し,平均生存期間2,3か月と予後が非常に悪い病態であるが,皮膚科領域での報告は稀である.進行期の悪性腫瘍において末梢血に骨髄球などの幼若顆粒球を認めた際は,骨髄癌腫症を念頭に置き骨髄穿刺を含めた対応を検討する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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