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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻3号

2021年03月発行

文献概要

症例報告

基底細胞癌との鑑別を要した色素性有棘細胞癌の1例

著者: 中西雄也1 安藤純実1 坂井浩志1

所属機関: 1医療法人警和会大阪警察病院皮膚科

ページ範囲:P.261 - P.266

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要約 88歳,女性.顔面の黒色結節を主訴に受診した.左頰部に黒色痂皮が付着したように見える6mm大の黒色小結節を認め,周囲には紅暈を伴っていた.ダーモスコピー上,小結節中央の黒色領域は角化によるものと考えられ,辺縁に青灰色領域を認めた.明らかな皮膚潰瘍および樹枝状血管は認めなかった.病理組織上,表皮と連続して真皮内に胞巣を形成する不整な腫瘍性病変を認め,胞巣内で角化傾向を示し角質真珠を伴っていた.免疫組織染色では腫瘍内にS100蛋白陽性,HMB-45陽性の樹枝状のメラノサイトを認めた.色素性有棘細胞癌と診断し,腫瘍辺縁より1cm離して全切除した.術後約1年半転移再発を認めていない.色素性有棘細胞癌は基底細胞癌と鑑別を要する.ダーモスコピー像はともに青灰色領域,黒色領域を認め類似する.両者の鑑別には,角化所見の有無,樹枝状血管所見の有無が重要であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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