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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

症例報告

造影CTで検出困難であった活動性出血が外科的介入時に判明したdeep dissecting hematomaの1例

著者: 小川夕貴1 伏間江貴之1 舩越建1 加藤達也2 岡部圭介2 小林秀3 天谷雅行1 山上淳1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科 2慶應義塾大学医学部形成外科 3慶應義塾大学医学部整形外科

ページ範囲:P.285 - P.289

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要約 60歳,男性.ワルファリンカリウム内服中.初診1か月前に左足外顆の皮下腫瘤を自覚した.初診2週間前に近医を受診し,ガングリオン疑いで穿刺された.その後,皮下腫瘤は増大傾向となり,疼痛も出現したため前医整形外科を受診した.MRIにて陳旧性血腫を認め,当科紹介受診した.初診時,左足外顆に径5cm大,びらんを伴う暗紫紅色の皮下腫瘤を認め,発赤と腫脹を伴っていた.造影CTで活動性出血を示唆する所見なく,皮下血腫の二次感染を疑い抗生剤投与と圧迫療法を開始したが増悪傾向で第7病日に局所麻酔下で血腫除去術を施行した.術中,深部動脈からの活動性出血を認め結紮処理した.脂肪組織と筋膜の間に血腫を生じており,自験例をdeep dissecting hematomaと診断した.血腫が出血源を圧迫していたため出血が持続的ながら緩徐であり,画像検査で活動性出血を同定できなかったと考えられた.臨床的に血腫の拡大を疑う場合は,画像所見にかかわらず早期の外科的治療介入が重要と考えた.

参考文献

1) Kaya G, Saurat JH:Dermatology 215:284, 2007
2) 佐藤純子,他:臨皮 69:149, 2015
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7) Suzuki H, et al:J Dermatol 45:e65, 2018
8) 小熊玲奈,他:臨皮 73:667, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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