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症例報告
クルミとカシューナッツのアレルギーを示した1例
著者: 大原香子1
所属機関: 1大原医院
ページ範囲:P.291 - P.294
文献購入ページに移動要約 12歳,男児.アトピー性皮膚炎と気管支喘息をもち,これまでクルミとカシューナッツにアレルギー症状を起こしている.クルミ,ぺカン,カシューナッツ,ピスタチオ,ピーナッツ,アーモンド,マカダミアナッツのプリック・プリックテストはすべて陰性,特異的IgE抗体はクルミとJug r1,カシューナッツとAna o3が陽性であり,クルミとカシューナッツアレルギーと診断した.Jug r1とAna o3は症状誘発に強く関連するアレルゲンコンポーネントであり,粗抗原の特異的IgE抗体に比べ感度が高い.近年ナッツアレルギーが増加しクルミ,カシューナッツ,アーモンドの順番であるが,報告は小児科,アレルギー科からが多く,皮膚科領域からは少なくクルミアレルギーの報告も5例のみである.自験例は幼少から手に湿疹病変を繰り返し,経皮感作したと考えた.他のナッツ類のアレルギーについても,クルミのJug r1,カシューナッツのAna o3と同様の検査が可能になり,皮膚科医でも診断が容易になることに期待する.
参考文献
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