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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

症例報告

イオパミドールによる急性汎発性発疹性膿疱症の1例

著者: 片桐正博1 小田充思1 天野真希1 並木剛1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.295 - P.300

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要約 64歳,女性.イオパミドール(イオパミロン®370)を用いた造影CT施行後翌日より全身に紅斑が出現し,5日後には40℃の発熱を認めたため当科受診となった.当科受診時,軀幹・四肢に浸潤を伴う米粒大の紅斑が散在し,腰部や大腿には非毛包性小膿疱を伴っていた.細菌・真菌培養は陰性だった.組織では角層下膿疱と表皮内に海綿状態を伴う好中球浸潤があり,真皮上層は浮腫状で,リンパ球・組織球を主体とし好酸球を混じる炎症細胞浸潤を認めた.イオパミドールのDLSTは陰性だったがパッチテストは陽性であり,イオパミドールによる急性汎発性発疹性膿疱症と診断し,常用薬継続のまま補液とステロイド外用にて軽快した.またイオパミドール以外の非イオン性ヨード造影剤はいずれもパッチテスト陽性で,イオン性ヨード造影剤はすべてパッチテスト陰性であった.ヨード造影剤による重症薬疹の症例では,被疑薬の同定だけでなく,使用可能な造影剤検索も行うことが望ましい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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