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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

症例報告

肺転移をきたした巨大基底細胞癌の1例

著者: 新谷友香1 金久史尚1 小森敏史1 浅井純1 竹中秀也2 加藤則人1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 2京都市立病院皮膚科

ページ範囲:P.307 - P.312

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要約 80歳,男性.当科初診の3年前から右上腕に小潰瘍・丘疹を自覚していたが,放置していた.初診1か月前に健康診断で肺野の結節影を指摘された.その後,精査のため受診した近医内科で右腋窩リンパ節の腫大も確認されたため,当科を紹介され受診した.初診時,右上腕に周堤状に隆起する硬結を伴った11×13cm大の皮膚潰瘍局面がみられた.皮膚生検で基底細胞癌(basal cell carcinoma:BCC)の所見が得られた.右上腕のMRI検査では上腕骨骨膜への浸潤が疑われ,PET-CT検査では多発肺転移,右胸膜播種,右腋窩・鎖骨上窩リンパ節転移を認めた.以上より,基底細胞癌pT3N2M1 stage Ⅳと診断し,ドセタキセル療法,および右上腕原発巣・右腋窩リンパ節転移部への放射線療法による化学放射線療法を開始した.その後はドセタキセル単剤療法を継続したが,転移性病変は増大傾向を示し,初診から45か月後に死亡した.BCCの転移症例は稀で既報告例も少なく,集学的治療に際しては十分な検討が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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