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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

症例報告

腹部丹毒様症状を契機に診断された卵巣癌臍転移(Sister Mary Joseph's nodule)の1例

著者: 小林研太1 増田容子1 小山内久人2 横山知明1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2静岡市立清水病院産婦人科

ページ範囲:P.313 - P.317

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要約 66歳,女性.既往歴なし.当科初診4日前より臍周囲に熱感を伴う淡い発赤が出現した.近医皮膚科にて抗菌薬治療を開始されたが改善に乏しく,当科紹介受診となった.初診時,臍周囲に淡い発赤を認め,熱感を伴っていた.造影CT検査で臍部に多房性皮下腫瘤を認め,周囲脂肪織の濃度上昇を伴った.また,腹腔内には子宮と連続する6cm大の腫瘤を認め,当院産婦人科にて行われた経腟針生検により卵巣漿液性腺癌と診断された.臍部皮下腫瘤の病理組織では核異型を有する類円形細胞がリンパ管内に集簇しており,卵巣癌臍転移(Sister Mary Joseph's nodule)と診断した.化学療法開始後,腹部発赤は速やかに色素沈着化し,原発巣・転移巣ともに縮小した.根治的切除術と術後化学療法を行い,診断後1年の時点で再発・転移所見を認めていない.過去の報告でSister Mary Joseph's noduleは臍部腫瘤を契機に診断されているが,腹部丹毒様症状を診た際も鑑別に挙げ,臍部を詳細に診察すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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