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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

症例報告

ミノサイクリン塩酸塩が奏効したMycobacterium abscessusによる皮膚潰瘍の1例

著者: 浦﨑智恵12 秋田文2 大久保倫代2

所属機関: 1地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院皮膚科 2千葉医療センター皮膚科

ページ範囲:P.341 - P.345

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要約 15歳,女性.基礎疾患なし.初診2か月前より右膝外側に紅斑が出現し,徐々に拡大して潰瘍化した.皮膚生検組織を小川培地で培養したところ17日後に白色のコロニーを形成し,DNA-DNAハイブリダイゼーション法でMycobacterium abscessusと同定された.ミノサイクリン塩酸塩(MINO)を内服し,4か月で濃褐色の色素沈着と軽度の硬結を残して瘢痕治癒した.難治性の皮膚潰瘍においては非結核性抗酸菌症の可能性を考慮し,組織の培養検査で菌種の同定が必要である.皮膚Mycobacterium abscessus感染症の標準的な治療法は確立されていないものの,治療が長期に及ぶため,耐性菌の出現を考慮し多剤併用療法が推奨されている.自験例ではMINO単剤内服で比較的短期で治癒したが,耐性菌の出現を考慮すると多剤併用療法が望ましく,使用薬剤の1つとしてMINOは効果があると考えられた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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