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臨床統計
ホスラブコナゾール内服によるAST,ALT,ALP,γ-GTP,LDHの異常値出現の検討
著者: 大原香子1
所属機関: 1大原医院
ページ範囲:P.358 - P.362
文献購入ページに移動要約 爪白癬に対しホスラブコナゾールの内服を開始した139例に対し内服前,内服4週間後,8週間後で血液検査を行い,AST,ALT,ALP,γ-GTP,LDHの異常値出現について検討を行った.来院しなくなった中断例は11例,副作用による中止例は22例で12週の内服継続率は76%と高かった.異常値出現はγ-GTP 45人(35.2%),AST 6人,ALT 11人,ALP 9人,LDH 0人で,γ-GTP上昇の半数以上が単独上昇,また添付文書に記載のある異常値出現率と比較してAST以外では高率であった.厚生省の医薬品等副作用の重篤度分類基準のグレード1が39人,グレード2が9人で合計48人,滝川らの薬剤性肝機能障害分類における肝機能障害に該当するのは18人であった.異常値出現時期は内服8週間後が最も多かった.厚生省,滝川らの基準のいずれでもγ-GTPは肝機能障害の項目に含まれないが,γ-GTPが正常上限の3倍以上,かつ他の値が正常の場合内服継続するかなど今後の議論が必要と考えた.
参考文献
1) 厚生省:医薬品等の副作用の重篤度分類基準について:薬安第80号厚生省事務局安全課長通知(平成4年6月29日付)
カプセル100mg,添付文書:2018年8月改定(第3版)
3) 常深祐一郎:講演会記録集(2018年5月12日六本木アカデミーヒルズ),6-7頁
4) 佐藤友隆,原田和俊:日臨皮会誌 34:742, 2017
5) 滝川 一,他:肝臓 46:85, 2005
6) 常深祐一郎,他:臨床医薬 34:839, 2018
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