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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻5号

2021年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2021 Clinical Dermatology 2021 1.最近話題の皮膚疾患

グローバルな疥癬診断基準:2020 International Alliance for the Control of Scabies(IACS) Consensus Criteria for the Diagnosis of Scabies

著者: 吉住順子12

所属機関: 1吉住皮膚科クリニック 2東京女子医科大学東医療センター皮膚科

ページ範囲:P.37 - P.42

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疥癬はヒゼンダニSarcoptes scabiei variety hominisがヒトの皮膚の角層に寄生することによって起こるかゆみの強い伝染性の皮膚疾患である.疥癬の感染者数は全世界でたえず2億人以上,特に熱帯地域の発展途上国における蔓延が深刻である.2012年に設立されたInternational Alliance for the Control of Scabies(IACS)は,通常疥癬の診断を行うため,発展途上国を含めた世界標準の基準として2020 IACS Consensus Criteria for the Diagnosis of Scabiesを発表した.鏡検やダーモスコピー検査でヒゼンダニの検出された症例を確定診断(A)とする.ヒゼンダニが検出されない症例では疥癬トンネルや,疥癬に典型的な皮疹,すなわち散在性丘疹,疥癬結節が典型的な分布を示し,瘙痒と,疥癬患者との接触機会があれば臨床診断(B),(B)の要件の一部を満たす症例を疑い例(C)と診断する.(B),(C)の診断は疥癬以外の皮膚疾患と考えにくいことが前提となる.疥癬を疑ってもヒゼンダニの検出されない症例を(B),(C)と診断することにより診断の確かさを共有できるようになった.

参考文献

1) https://www.who.int/neglected_diseases/diseases/scabies-and-other-ectoparasites/en/
2) 清島真理子:J Visual Dermatol 18:766, 2019
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4) Bernigaud C, et al:Acta Derm Venereol 100:adv00112, 2020
5) Engelman D, et al:PLOS Negl Trop Dis 12:e0006549, 2018
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9) Romani L, et al:N Engl J Med 373:2305, 2015
10) 吉住順子:日病薬誌 51:894, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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