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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻5号

2021年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2021 Clinical Dermatology 2021 2.皮膚疾患の病態

SDR9C7と角質細胞脂質エンベロープ

著者: 武市拓也1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科皮膚科学

ページ範囲:P.51 - P.55

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角質細胞脂質エンベロープ(corneocyte lipid envelope:CLE)がしっかりと機能することで,蛋白質と脂質という異質な成分をつなぎ,強固な皮膚バリアを維持することができる.CLE形成に関わる分子をコードする遺伝子の変異により,皮膚バリア機能異常の代表的な疾患である先天性魚鱗癬が引き起こされる.CLEは結合型セラミドを主成分とするが,そのセラミドがCLEを形成する際に周辺帯蛋白質と結合するメカニズムは,これまで不明であった.われわれは,先天性魚鱗癬の原因遺伝子の1つのSDR9C7にコードされるSDR9C7が産生する,ケトン体の脂肪酸を持つアシルセラミドが,特定の酵素反応を必要とせずに周辺帯蛋白質と結合することを明らかにした.魚鱗癬患者が有する変異型SDR9C7の機能障害がCLEの形成不全をきたし,魚鱗癬を発症すると考えられる.SDR9C7を標的とした新規治療法の開発が期待される.

参考文献

1) Takeichi T:J Dermatol Sci 98:82, 2020 review
2) Akiyama M:FEBS Journal 2020 review(in press)
3) Takeichi T, Akiyama M:J Dermatol 43:242, 2016 review
4) Shigehara Y, et al:Hum Mol Genet 25:4484, 2016
5) Takeichi T, et al:Br J Dermatol 177:e62, 2017
6) Takeichi T, et al:J Clin Invest 130:890, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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