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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻5号

2021年04月発行

文献概要

増刊号特集 最近のトピックス2021 Clinical Dermatology 2021 2.皮膚疾患の病態

天疱瘡自己抗体はデスモグレインとデスモコリンのヘテロフィリック結合を直接阻害する

著者: 石井健1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.56 - P.60

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天疱瘡はデスモゾームに局在するカドヘリン型細胞接着因子のデスモグレイン(Dsg)1および3に対するIgG型の自己抗体によって生じる自己免疫性水疱性疾患である.水疱形成機序は未解決で,抗体が細胞内シグナルを介さずに自己抗体がDsg分子の接着面に結合することによる直接阻害により水疱形成に至るという説,もう1つは,細胞内シグナルの活性化を介し間接的に水疱形成を誘導されるとの説が提唱されている.今回,組換えDsg,デスモコリン(Dsc)を固相化したビーズ凝集法を開発し,デスモゾーム接着においてDsgとDsc間のヘテロフィリックな結合が,Dsg同士,Dsc同士よりも強固な接着活性を持つことを確認した.また,天疱瘡自己抗体は,DsgとDsc間の接着を細胞内シグナルを介さず直接阻害することを示した.臨床応用として,ビーズ凝集法は病的活性を持つ自己抗体を検出することができるため患者の病勢を評価する検査になりうる可能性がある.

参考文献

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10) Saito M, et al:PLoS One 7:e50696, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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