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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻6号

2021年05月発行

症例報告

IgG4関連疾患と診断した両下腿皮膚潰瘍の1例

著者: 権東容秀12 坪井良治12 内山隆史3 木口英子4 平野宏文1 原田和俊2

所属機関: 1戸田中央総合病院皮膚科 2東京医科大学病院皮膚科 3戸田中央総合病院心臓血管センター内科 4戸田中央総合病院病理診断科

ページ範囲:P.403 - P.408

文献概要

要約 77歳,女性.10年前より下腿,足の潰瘍を繰り返していた.初診時,多発する足潰瘍と下腿結節を認めた.画像検査や生理機能検査で下肢の動脈性疾患や静脈性疾患は否定された.血液検査上もANCAは陰性で,膠原病を示唆する所見は認めなかったが,血清IgG 2,561mg/dl,血清IgG4 137mg/dlと高値を示した.皮膚生検にて血管炎の所見は認めなかったが,壊死を含む急性・慢性炎症像を認め,IgG4陽性細胞の浸潤が著明であった.CT画像検査にて肺に複数の結節陰影を認めた.以上よりIgG4関連疾患と診断した.PSL 20mg/日内服治療によりいずれの病変も消失し,血清IgG4値も低下した.難治性下肢潰瘍の鑑別診断は難しいが,他の臓器にも病変がある場合や血清IgGが高値の場合にはIgG4-RDの可能性も考え,IgG4値の測定や免疫組織学的検索も考慮しても良いと考えた.

参考文献

1) Hamano H, et al:N Engl J Med 344:732, 2001
2) 戸倉新樹:日皮会誌 126:1445, 2016
3) Umehara H, et al:Mod Rheumatol 22:21, 2012
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8) 高橋裕樹:臨リウマチ 31:64, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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