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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻6号

2021年05月発行

症例報告

内眼角に生じたアポクリン汗囊腫の1例

著者: 今村友美1 藤﨑亜紀1 笹本聖人2 藤﨑伸太1 今福信一3

所属機関: 1医療法人修腎会藤﨑病院皮膚科 2医療法人社団高邦会高木病院皮膚科 3福岡大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.421 - P.424

文献概要

要約 92歳,男性.初診5,6年前より右内眼角に皮下結節が出現した.その後消退しないため当科受診した.受診時,右内眼角に基部は常色,そこから隆起し内部が透見され毛細血管拡張を伴う15mm大の囊腫様結節を認めた.囊腫病変を疑い,基部を切除した.病理組織像は断頭分泌像を伴う立方状分泌上皮に囲まれた囊腫構造を示した.免疫染色にてEMA陽性,34βE12陽性,α-SMA一部陽性,S100蛋白陰性であった.以上よりアポクリン汗囊腫と診断した.基部の切除のみで,術後4年経つが再発なく経過している.アポクリン汗囊腫は眼周囲に多いとされ,Moll腺に由来するためといわれている.色調は多様性に富み,臨床所見のみでの診断は困難な場合も多い.眼周囲に生じた腫瘤を経験したときに鑑別疾患の1つとして挙げるべきである.

参考文献

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10) Tokura Y, et al:J Cutan Pathol 13:102, 1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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