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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻6号

2021年05月発行

症例報告

小児癌サバイバーの38歳男性に生じた基底細胞癌の1例

著者: 森修一12 勝見達也13 高塚純子1 竹之内辰也1 小川淳4

所属機関: 1新潟県立がんセンター新潟病院皮膚科 2富山大学大学院医学薬学研究部皮膚科学 3新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 4新潟県立がんセンター新潟病院小児科

ページ範囲:P.425 - P.429

文献概要

要約 38歳,男性.2歳時に急性リンパ性白血病を発症し,多剤化学療法と頭蓋放射線照射(18Gy)で完治した.その後完全寛解状態を維持していた.数年来の左前頭部の黒色ドーム状結節を主訴に当科を受診した.生検で基底細胞癌と診断し,拡大切除を行った.若年者における基底細胞癌の発生は稀であり,小児癌の治療歴が関わっていたことが推定される.放射線照射部位に基底細胞癌が発生することは広く知られており,自験例でも頭蓋照射部位に発生したため,放射線治療が発生に関与した可能性が高い.小児癌治療の進歩による治癒症例の増加に伴い,さまざまな晩期障害への対策が求められている.海外では非黒色腫皮膚癌は小児癌サバイバーの晩期障害として最も累積リスクの高い二次悪性腫瘍とされており,本邦においても小児癌サバイバーに対する遮光指導や皮膚の自己検診などの啓発が必要と思われた.

参考文献

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8) 堀口葉子,他:皮膚臨床 61:1475, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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