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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻6号

2021年05月発行

症例報告

アカコッコマダニ刺咬症の1例

著者: 宜野座淳善1 佐藤洋平1 早川順1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.443 - P.447

文献概要

要約 3歳,女児.項部の“付着物”に母親が気付き当科を受診した.初診時,“付着物”は除去されており,淡い紅斑を認めるのみであった.母親が持参した“付着物”は虫体で口器は虫体側に残存していたため,外科的処置はせずセファクロル600mg/日内服のみを行った.経過は良好であった.後日,虫体はアカコッコマダニと同定された.アカコッコマダニは鳥類などに寄生するマダニであり刺咬症の本邦報告例は10例と比較的稀である.既報告例を検討すると,関東の市街地で刺咬された小児の頭頸部例が多くみられた.これまでアカコッコマダニが媒介するBorrelia turdiによるライム病の報告例はなく,刺咬後の感染症合併のリスクの予測のために積極的に虫体を同定することは有用であると考えた.

参考文献

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11) 山内健生,他:ホシザキグリーン財団研究報告 18:287, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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