icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻7号

2021年06月発行

文献概要

症例報告

インフルエンザワクチン接種後に生じた急性汎発性発疹性膿疱症の1例

著者: 青山礼華1 近藤由佳理1 東典子1 吉良正浩1

所属機関: 1市立池田病院皮膚科

ページ範囲:P.479 - P.483

文献購入ページに移動
要約 90歳台,女性.インフルエンザワクチン接種2日後より注射部位の発赤が出現し,その後,高熱と全身に無菌性膿疱を伴う紅斑が多発した.生検,臨床像より急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis:AGEP)と診断した.自験例ではインフルエンザワクチンの薬剤リンパ球刺激試験で陽性反応を認めたが,ワクチンの性質上,偽陽性の可能性もあり注意が必要である.同様の症例で原因の特定には遅延型皮内反応が有用であったとの報告もあるが,自験例ではワクチン以外の要因がなく,注射部位の局所反応に引き続き全身症状が出現してきたことより,インフルエンザワクチンに関連したAGEPと考えた.インフルエンザワクチン接種後に生じる副反応は局所反応が一般的だが,中毒性表皮壊死症,AGEP等と診断された例も散見される.インフルエンザワクチンの需要増加に伴い,局所反応だけでなく,AGEPを含めた重症薬疹が起こりうることを念頭に置き,日常診療にあたる必要がある.

参考文献

1) 豊田裕之,他:臨皮 41:755, 1987
2) Matsuo S, et al:J Dermatol 44:598, 2017
3) 高橋道央,他:皮膚病診療 36:1149, 2014
4) 太田みどり,他:皮膚臨床 28:1265, 1986
5) 坂田有紀,高濱英人:皮膚臨床 53:798, 2011
6) 渡辺千恵子,他:J Environ Dermatol Cutan Allergol 1:119, 2007
7) 牧原亜矢子,他:三豊総合病誌 34:38, 2013
8) 高松紘子,他:皮膚臨床 54:423, 2012
9) Jovanovic M, et al:J Am Acad Dermatol 52:367, 2005
10) Wolf R, et al:Int J Dermatol 48:66, 2009
11) Okamura K, et al:J Dermatol 44:e11, 2017
12) Chen JF, et al:J Chin Med Assoc 74:280, 2011
13) Chen SX, et al:Cureus 10:e2323, 2018
14) Shin MS, et al:Ann Dermatol 25:489, 2013
15) Davidovici BB, et al:J Am Acad Dermatol 55:525, 2006
16) 古江増隆:薬疹診療のフロントライン,中山書店,p142, 2011
17) Britschgi M, Pichler WJ:Curr Opin Allergy Clin Immunol 2:325, 2002
18) 斎藤すみ,他:西日皮膚 53:705, 1991
19) 延原弘章,他:日公衛誌 61:354, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?