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症例報告
有茎性を示した巨大なclear cell hidradenomaの1例
著者: 古川博基1
所属機関: 1医真会八尾総合病院皮膚科
ページ範囲:P.503 - P.506
文献購入ページに移動要約 35歳,男性.初診の約10年前から左大腿外側に無痛性の皮下腫瘤を生じ,次第に増大するとともに,有茎性を呈するようになり当科を受診した.初診時径55×60mm,高さ45mm大の表面平滑で紅色の色調を有する有茎性腫瘤を認めた.病理組織学的には表皮と真皮内囊腫に連続性はなく,内部に充実性の腫瘍巣を有する多房性の囊腫が存在していた.充実性部分は,大部分がclear cellで,一部epidermoid cellが乳頭状に増殖していた.細胞の異型性や核分裂像は認めなかった.以上より腫瘍細胞の大部分がclear cellであったのでclear cell hidradenomaと診断した.自験例は以前より報告されているsolid cystic hidradenomaやnodular hidradenomaと同一疾患と考えられている.有茎性の臨床像で報告されているclear cell hidradenoma,solid cystic hidradenoma,nodular hidradenomaの報告は少なく,通常大きさは30mm大までの報告がほとんどであり,有茎性で巨大な臨床像を示した珍しい1例であると考え報告した.
参考文献
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