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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻7号

2021年06月発行

文献概要

症例報告

黄白色調結節を呈したmastocytomaの1例

著者: 瀬下治孝12 伊藤友章12 江草智津12 前田龍郎12 坪井良治12 大久保ゆかり12 原田和俊12 竹田潮3

所属機関: 1東京医科大学皮膚科学分野 2東京医科大学病院 3しらゆり皮膚科クリニック

ページ範囲:P.507 - P.510

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要約 1歳,男児.生下時より左臀部に黄白色調の皮疹が出現し,増大したため当院紹介となった.初診時,左臀部に1cm大の黄白色調の充実性結節を認めた.生検の結果,HE染色像で,真皮全層に腫瘍細胞が増殖していた.トルイジンブルー染色で腫瘍細胞は異染性を示した.病変部位から抽出したDNAではKIT遺伝子変異は認めず,mastocytomaと診断した.海外では,肉眼的に黄白色調を呈しダーモスコピーで境界不明瞭な黄色がかった橙色のyellow-orange dotの所見を呈するmastocytomaの報告があるが,本邦でのこれまでの報告例は全て紅色調の結節のみであった.自験例は,肉眼的に黄白色調を呈し,ダーモスコピーでyellow-orange dotを示した邦人では稀なmastocyotomaの1例であった.黄白色調を呈しない皮疹においても,ダーモスコピーを使用すると,yellow-orange dotの所見を呈することがある.診断に有用であるため,積極的なダーモスコピーの使用が推奨される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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