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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻7号

2021年06月発行

文献概要

症例報告

抗ARS抗体症候群患者の皮膚にみられたMycobacterium intracellulare感染症の1例

著者: 八木久実1 荒井利恵1 武内敦子1

所属機関: 1大阪府済生会中津病院皮膚科

ページ範囲:P.529 - P.533

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要約 63歳,女性.2015年4月に抗aminoacyl-tRNA synthetase(ARS)抗体症候群と診断され,メチルプレドニゾロンパルス療法後プレドニゾロン(PSL)内服加療中であった.2017年6月間質性肺炎が増悪し,シクロホスファミドパルス療法で改善した歴もある.PSL漸減中の2018年2月左手背に皮下結節が出現し当科を受診した.皮膚組織のZiel-Neelsen染色で抗酸菌を検出し,抗酸菌培養でMycobacterium intracellulareと同定した.また,組織学的に類上皮細胞性肉芽腫を認めた.リファンピシン,塩酸エタンブトール,クラリスロマイシンを内服したところ,約3か月後には皮下硬結はほぼ消退した.その後1年間内服を継続しているが再燃はない.免疫抑制患者で結節病変がみられたら,非結核性抗酸菌症の可能性を念頭に置き,積極的に生検や抗酸菌の検査を行う必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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