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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻7号

2021年06月発行

文献概要

症例報告

タクロリムス外用が著効した形質細胞性亀頭包皮炎の1例

著者: 加藤寿香1 小林麻友子1 島田京香1 吉野春香1 石井健1 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.539 - P.544

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要約 84歳,男性.初診2か月前から亀頭部に疼痛および瘙痒を伴わないびらんが出現し拡大した.前医を受診し外用治療をしたが改善せず,当科を紹介受診した.初診時亀頭部両側面から後面,冠状溝周囲にかけて紅色のびらん局面がみられた.血液検査にて梅毒血清反応陰性.皮膚生検を施行した.病理組織像は真皮浅層に多数の形質細胞とリンパ球がみられ,免疫染色にてCD79aは真皮ほぼ全層の多数の細胞に陽性であった.以上より形質細胞性亀頭包皮炎と診断した.タクロリムス軟膏外用を開始したところ著効し2週間で急速に上皮化し,その後現時点まで再燃はみられていない.本邦での形質細胞性亀頭包皮炎のタクロリムス外用報告例は過去に1例のみであった.またタクロリムス軟膏外用報告例に関して形質細胞性亀頭包皮炎に限らず開口部形質細胞症に検索範囲を広げたところ,口唇に奏効した例は多く報告されていた.亀頭部に関しても良い適応と考えられた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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