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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

Interventional radiology後に生じた臀部慢性放射線皮膚炎の1例

著者: 水田綾1 本田ひろみ1 朝比奈昭彦1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.575 - P.579

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要約 48歳,男性.右骨盤内動静脈瘻に対し,初診1か月前にコイル塞栓術を施行した.その3週後より右臀部に紅斑・びらんが出現し,当科でステロイド外用により改善したが,1年半後に再度同部位の疼痛,潰瘍が出現した.コイル塞栓術術後の有害事象として臀筋壊死も疑われたが,骨盤造影CTで虚血を疑う所見はなかった.また,細菌培養は常在菌のみ検出され,病理組織学的検査で炎症細胞浸潤や表皮細胞の異型を認めなかった.臨床所見およびIVR歴から慢性放射線皮膚炎およびそれに伴う潰瘍形成と診断した.IVRによる慢性放射線皮膚炎の症例は冠動脈関連が多く,塞栓術施行によって臀部に生じた報告例は稀である.慢性放射線皮膚炎は皮膚悪性腫瘍の発生母地となりうるため,早期の診断と治療介入が望まれ,早期診断の向上には,放射線科と皮膚科医が連携して診療にあたることが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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