icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

手指の皮膚硬化を伴った好酸球性筋膜炎の1例

著者: 小林英資1 佐藤洋平1 新田桐子1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.581 - P.585

文献購入ページに移動
要約 34歳,女性.初診の約1年前より手掌の疼痛と手指の皮膚硬化,下肢の腫脹を自覚した.症状改善なく当院内科を受診し,皮膚の硬化につき当科を紹介され受診した.初診時,両側の前腕から手指と両側下腿に皮膚硬化と腫脹を認めた.下肢MRIで皮下脂肪層と筋層の間に高信号を認めた.組織学的に筋線維間に軽度の好酸球,リンパ球,形質細胞の浸潤を認め,好酸球性筋膜炎と診断した.プレドニゾロン1mg/kg/日投与開始し,手指も含め皮膚硬化は速やかに改善した.好酸球性筋膜炎では手指の硬化は比較的稀である.自験例も含めた本邦報告48例のうち,手指硬化を伴う症例は13例であった.手指硬化のない症例では高用量ステロイド治療開始群と低用量開始群間で予後に差はなかったが,手指硬化のある症例では前群で予後が良い傾向にあった.本症では初診時の手指硬化の有無の確認が治療方針の決定に有用である可能性があると考えられた.

参考文献

1) 神人正寿,他:日皮会誌 126:2241, 2016
2) Shulman LE:J Rheumatol 1(Suppl):46, 1974
3) 滝口義晃,他:綜合臨 46:2827, 1997
4) Hashimoto Y, et al:Dermatology 192:136, 1996
5) Silló P, et al:J Clin Microbiol 50:1113, 2012
6) 宮地真帆,他:日周産期・新生児会誌 53:171, 2017
7) 有働幸弘,他:耳鼻と臨 35:994, 1989
8) 玉置邦彦,他(編):最新皮膚科学大系,13巻,1版,中山書店,p124, 2002
9) 松山阿美子,他:臨皮 64:765, 2010
10) 若林満貴,他:臨皮 68:70, 2014
11) 鈴木貴博,他:北里医学 16:146, 1986
12) 佐藤 愛,他:皮膚臨床 58:230, 2016
13) 冬野洋子,他:西日皮膚 75:211, 2013
14) 坂本光章,他:中部整災誌 42:853, 1999
15) 村松 勉,他:臨皮 39:1017, 1985
16) 大木麻理奈,他:皮膚病診療 16:811, 1994
17) 柴山弘司,他:神経治療 11:395, 1994
18) 福山薫子,他:臨皮 51:811, 1997
19) 原田和俊,他:臨皮 52:427, 1998
20) 清井起鵬,他:西日皮膚 61:698, 1999
21) 山口隆広,他:西日皮膚 63:375, 2001
22) 鍬塚 大,他:西日皮膚 70:614, 2008
23) 清水裕希,他:皮膚病診療 35:914, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?