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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

長期の胃瘻を必要とする嚥下機能障害が遷延した皮膚筋炎の1例

著者: 河合良奈1 古川佑来1 山崎菜央1 加藤恒平1 片桐一元1

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター皮膚科

ページ範囲:P.587 - P.592

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要約 61歳,女性.初診1か月前に背部,顔面に皮疹が出現.筋原性酵素の上昇,手背のGottron丘疹,爪囲紅斑,背部に多形皮膚萎縮あり.抗Mi-2抗体強陽性.間質性肺炎,内臓悪性腫瘍なし.プレドニゾロン(PSL)1mg/kg/日,アザチオプリン50mg/日を投与するも血清CK値が1,400U/lで下げ止まり,嚥下および体動困難となった.ガンマグロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIG)を追加したところ,血清CK値は速やかに低下したが,嚥下機能の回復が遅く,胃瘻を造設し,嚥下リハビリを行い,胃瘻は9か月後に閉鎖した.PSL減量で筋症状が再燃したが,増量で改善し,現在PSL 8mg/日とシクロスポリン150mg/日で維持している.自験例ではステロイド抵抗性の嚥下機能障害を合併する皮膚筋炎に対し,IVIGが血清学的に奏効した.また,胃瘻造設により,誤嚥性肺炎やカテーテル感染を起こすことなく,腸管機能も温存できた.長期の嚥下障害が予想される症例では胃瘻造設を治療選択肢として検討すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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