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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

サルコイドーシスを合併した抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎の1例

著者: 中村紗和子1 松田杏奈1 西岡和恵2 下村裕1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座 2ジョイ皮ふ科クリニック

ページ範囲:P.593 - P.597

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要約 75歳,女性.2か月前から出現した顔面の紅斑を主訴に近医を受診し,精査を目的に当科を紹介され受診した.初診時,顔面の浮腫性紅斑,関節伸側の角化性紅斑,爪上皮の延長と点状出血,前胸部や上背部の紅斑などを認めたが,明らかな筋症状はなかった.項部の紅斑部からの皮膚生検組織では表皮基底層の変性像と真皮上層のムチン沈着を認め,採血で抗TIF1-γ抗体が陽性だったことより皮膚筋炎と診断した.その後詳細な全身検索を行ったが,内臓悪性腫瘍および間質性肺炎は同定されなかった.造影CT検査で肺門・縦郭リンパ節の腫大を認め,血清ACE,リゾチームとsIL-2Rが高値だった.さらに肺門リンパ節からの生検で類上皮細胞肉芽腫を認めたため,サルコイドーシスと診断した.抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎においては,サルコイドーシスを合併している可能性も考慮し全身検索を行う必要があることが示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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