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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

アダパレン外用が奏効したFavre-Racouchot症候群の1例

著者: 坊地実1 佐藤崇興1 甲斐宜貴1

所属機関: 1国立病院機構別府医療センター皮膚科・皮膚腫瘍科

ページ範囲:P.599 - P.603

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要約 65歳,女性.初診の2年前から両側頰部の黒色皮疹が生じ多発した.初診の1か月前に近医を受診し,当科を紹介され受診した.両側のこめかみ部から頰部にかけて毛孔一致性の黒色面皰様丘疹が多発,集簇しており,皮膚表面は凹凸不整で,周囲には細かい皺襞が刻まれていた.生活歴として,20年間新聞販売店に勤務し,1日20本,30年間の喫煙歴があった.これらの経過と臨床所見より,Favre-Racouchot症候群と診断した.日光曝露や老化によるエストロゲン減少,長期の喫煙による弾性線維の変性や皮膚老化が成因と考えられた.治療は紫外線防御とアダパレン外用を行った.アダパレンの外用を開始し,治療開始9週後には黒色面皰が著明に減少し,副作用なく治療継続できた.アダパレンの毛包漏斗部における角化異常の改善効果が治療効果につながっていると考えられた.アダパレンはFavre-Racouchot症候群に対して有効な外用治療の1つであると言える.

参考文献

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16) 谷岡未樹:皮膚臨床 58:856, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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