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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

多発性成人型黄色肉芽腫の1例

著者: 伊藤靖敏2 村瀬千晶2 後藤康文3 森重彰1

所属機関: 1名古屋掖済会病院皮膚科 2名古屋大学大学院医学系研究科皮膚科学分野 3ごとう皮フ科クリニック

ページ範囲:P.611 - P.615

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要約 35歳,家族歴,既往歴のない男性.初診2か月前に右鼠径部の小豆大の赤黄色の丘疹を自覚した.自覚症状はなかったが増大傾向と両側腋窩,左側の鼠径部にも同様の丘疹が出現したため受診した.初診時1〜8mm大の多発する赤黄色の丘疹が腋窩,鼠径部に散在し,病理組織所見でTouton細胞,リンパ球の浸潤を認め,CD68,第XIII因子陽性となり多発性成人型黄色肉芽腫(adult xanthogranuloma:AXG)と診断した.他臓器への浸潤は認めなかったが病変は増加傾向であったため,経過観察となった.自験例を含め国内外からの報告された29例をまとめたところ,経過観察のみで自然消退する症例から血液疾患を合併する症例まで,多様な臨床経過をたどりうることが明らかとなった.多発性AXGでは長期的なフォローが必要であると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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