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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻8号

2021年07月発行

文献概要

症例報告

舌腫瘍が疑われた再感染第2期梅毒の1例

著者: 磯貝理恵子1 山田秀和1 若狭朋子2 岩本展子3 長田哲次3

所属機関: 1近畿大学奈良病院皮膚科 2近畿大学奈良病院病理診断科 3近畿大学奈良病院口腔外科

ページ範囲:P.617 - P.621

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要約 35歳,女性,職業commercial sex worker.初診の9か月前に治癒が確認された梅毒の感染歴がある.初診の3か月前に徐々に増大する舌の腫瘤に気づき,当院口腔外科を受診した.舌中央部に不規則な弾性硬の結節があり,舌腫瘍を疑い生検を行った.組織で表皮直下に形質細胞の著しい集簇を認め,梅毒が疑われたため,精査・治療目的で皮膚科に紹介された.血清反応検査はRPR 64倍,TPHA 81,920倍,免疫染色で表皮細胞間にらせん状の菌体を多数認めた.両手掌の丘疹性紅斑を伴っており,再感染第2期梅毒と診断した.肝胆道系酵素の上昇があり,梅毒性肝障害を伴っていた.自覚症状のない,舌に孤立性結節として生じた第2期梅毒の舌病変の報告は比較的稀である.近年,口腔粘膜疹が初発症状となる梅毒症例が増えており,皮膚科医としても注意が必要である.駆梅療法を受けている場合は非典型的な臨床像・検査結果を呈するため,患者の職業,病歴聴取も重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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