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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻9号

2021年08月発行

文献概要

症例報告

妊娠中期に発生した重症薬疹(Stevens-Johnson症候群進展型中毒性表皮壊死症)の1例

著者: 鶴町宗大1 木村有太子1 金子高英1 髙森建二1 須賀康1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院皮膚科

ページ範囲:P.655 - P.660

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要約 30歳台,女性.妊娠26週.感冒,尿路感染症の疑いで抗菌薬点滴と非ステロイド消炎鎮痛剤を内服.その後,高熱とともに,水疱・びらんを伴う紅斑局面が全身に多発.結膜,口腔内,外陰部に粘膜疹が出現.水疱・びらんの体表面積が総面積の30%を超えたためStevens-Johnson症候群進展型の中毒性表皮壊死症と診断した.自験例では全身の表皮剝離と高用量のステロイド治療により細菌感染が合併しやすい状態であり,さらに妊娠中期で児への影響も懸念されたため,免疫低下の少ない免疫グロブリン大量静注療法にステロイドパルス療法,高用量ステロイド内服を組みあわせて救命に成功した.妊娠33週で無事出産.妊娠中に発生したStevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症に対する治療方針は報告例も少なく確立していないため慎重な対応が求められる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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